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2024.05.05 (Sun)
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■既刊情報 子子子子子子子子子子子子

■2015年3月15日発売

 子子子子子子子子子子子子(ねこのここねこ ししのここじし)
 CP:跡部景吾×日吉若 傾向:ねこみみエロ R18

 『HARU COMIC CITY 20』新刊・脳波で動く猫耳を付けた日吉と跡部のH本。

ページ数:24p サイズ:A5(コピー) 著:五月ヰ都佳








 一体何度目か、数えるのも馬鹿らしくなるほどに繰り返した試合。恋人相手のそれに不満がある訳じゃねぇが――時には少し退屈に感じる事もある。
 日吉とする試合の全てに勝利している俺が、試合の理由として条件を付け始めたのはいつだったか。既に記憶にはねぇ。だが、つい最近じゃねぇという事だけは確かだ。
 その “条件 ”が俺の趣味の発露となってきたのも。
「……これで満足ですか、アンタは」
 日吉が苦虫を噛み潰した顔で俺の向かいに座る。
 頭の上のカチューシャには精巧に作られた猫耳。脳波を感知して動くという最新型のその猫耳おもちゃに投資する代わりに、値段には糸目をつけず滑らかな毛並みと猫耳の形状を本物そっくりに再現しろと命じて作らせたものだ。
 ハリウッドから特殊メイク技師を招いて作らせた、世界に一点しかない特注ネコミミは、日吉の髪にしっくりと馴染む薄茶色。まるで本当に日吉に猫耳が生えたかのようだ。
「あぁ、満足だ。なかなか似合ってるじゃねーの」
 俺がそう言うと、猫耳はウィンッと微かなモーター音を立てて動いた。
 音は多少気になるが、なかなかの出来じゃねーか。
 日吉は他に誰もいないのをいい事に、行儀悪くティーカップに紅茶をなみなみと注いで、ケーキスタンドからマドレーヌを二つ一気に口に放り込んだ。不満を露わにしたその顔が、こんな悪ふざけはちっとも面白くないと俺に語っている。
 そうやって不機嫌さを装う姿を見ているのも面白いんだと、なんでわからねぇんだか、コイツは。
 甘いものを食って、多少は日吉の機嫌は良くなったのか、頭の上の猫耳が緊張を緩めた。不機嫌そうな顔はそのままの癖に、なかなか現金な奴だ。
 俺と一試合した後で小腹でも空いたのか、日吉はそのままキューカンバーサンドウィッチに手を伸ばし、頬張った。
 日吉は不満を全面に出した表情を崩さない癖に、頭の上の猫耳はぴこぴこと、喜んでいる時の動きをした。
 俺にその動きが見えている意識などないんだろう。
「……なに見てるんですか」
 サンドウィッチを飲み込んだ日吉が、俺にじとっとした視線を向けた。耳の動きで自分の感情が俺に筒抜けなのを分かっていないのか、あくまで顔は不快そうなままだ。
「猫耳を付けて一層可愛くなった俺様の恋人の事を」
 そう言ってやると、日吉は大げさに溜息を吐いてみせた。
「俺はアンタがこんなオモチャに興味あるとは思いませんでしたけどね。サブカルチャーに興味が湧きましたか」
「脳波に反応して動くってのは興味深いじゃねーか。こういうツールを応用すりゃ、発声に障害のある相手とコミュニケーションを取るための器具も作れるかもしれねぇ。まだ口のきけねぇ赤ん坊の感情把握ツールも作れるかもな。
 まずオモチャで稼いで、医療器具開発チームにノウハウを渡せればベストだ。臨床試験前に合法的な実験データも取れるんじゃねぇか。そうなりゃWinーWinだろ」
 俺の言葉に、日吉が意外そうな顔をした。
 日吉の事だ。俺が私情十割でこんなものを作らせたんだと思っていたんだろう。だが、俺も投資でこの事業に関わった以上は、それなりに今後の収益の上げ方――この技術の活用方法を考えてやるつもりはある。
 もちろん、私情を余所に置くつもりもないんだが。
「……なんだ。じゃあ、これは俺で機能をテストするためのものですか」
 日吉は猫耳を触りながら、呑気にそんな事を言った。
 ンな訳ねぇだろう。一体どうして俺様がわざわざ投資してまで精巧に猫耳を再現させたと思ってるんだ。猫耳の付いてるテメーが見たかったからに決まってるじゃねーか。
 男なのに男の下心に鈍い奴だな。
 医療器具云々なんてのは余禄だ余禄。俺様の欲求が何かの役に立つなら、周囲から文句も出ねぇだろ。
 そう考えながら俺が否定も肯定もせず黙ったままでいると、日吉はその格好に使命感でも湧いたのか、ピンと立った耳がさりげなく俺の方を向いた。
「……それで、跡部さん。俺になにしろって言うんです?
 UFOでも呼んでみますか? この屋敷の屋上で、ベントラーベントラーって念じてみましょうか」
「おい、なんでそうなる」
「こういうギミックがついてると、何がしかの効果がありそうじゃないですか」
「そりゃ自分の興味じゃねぇか」
「もしUFOが来たら物凄く興奮しますよ、俺。
 そういうデータは必要じゃないんですか?」
 日吉が他人には分かりにくい笑みを浮かべた。
 そして来なかったらがっかりする癖に。耳がしおれるのが今から予想できちまうじゃねーか。
 猫耳の真ん中あたりを撫でてやると、柔らかい素材で出来ているそれが左右に耳を伏せるような仕草をした。
「……別にテメーを興奮させるのに、UFOなんか呼ばせる必要はねぇな」
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2015.08.15 (Sat)
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